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亜矢羽ノ国

047+ピアノ

深い森の奥に。

ひっそりと佇む。

小さな真っ白い家。


その中に忘れられた。

グランドピアノ。


黒いはずのピアノには。

埃が積もって白くなっている。


誰も訪れなくなって。

随分と時間が経過したのだろう。


でも。

ピアノは記憶している。

何度も何度も。

きちんと弾けるようになるまで練習していた少女。

どんなに難しい曲でも弾けるようになった女性。

友人を招待して聞かせあったあの日。


そして。

真夜中。

そっとひとりでに奏でだす。

懐かしい旋律。


幽霊が住むと伝えられ。

面白半分の若者が集まりだす。


記憶も。

ピアノ自信も踏み荒らされる。

壊される。


あの日々の事を覚えているモノは何も無くなる。

語り継がれるのは。

真夜中になるとピアノが勝手に奏でだす。

旋律と話しだけ。


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